エビングハウスの記憶実験と海馬と偏桃体が織りなす記憶のメカニズム!復習はいつするのが一番効率的なのか⑩

前回は、エビングハウスの記憶実験から導き出された受験生向けの「一番効率的な復習法」の前半部分、一回目から三回目の復習について説明しましたが、

今回は、後半部分、四回目以降の復習についてです。

エビングハウスの記憶実験から導き出された法則と、エビングハウス以後の記憶に関する研究で解明されてきた記憶のメカニズムを踏まえながら、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。

四回目以降の復習は翌日から連続して3日間「寝る前」に繰り返します!

前回説明したように、一回目から三回目までの復習は「学習したその日」のうちにおこないます。学習を終えてから復習をするまでの時間がなるべく短い方が、復習(再記憶)にかかる時間を節約できるからでしたね。

一回目の復習は「学習中」に、学校でなら「授業中」に、
二回目の復習は「学習終了直後」に、
三回目の復習は「学習した日の寝る前」に、おこないます。

そして、今回説明する四回目以降の復習は、学習した翌日から連続して3日間寝る前」に復習を繰り返します。

四回目の復習は、学習した日の「1日後の寝る前」にします。
五回目の復習は、学習した日の「2日後の寝る前」におこないます。
そして、六回目の復習は、学習した日の「3日後の寝る前」におこないます。

3日間とも「寝る前」におこなうのは、前回も説明したようにエビングハウスの重要な原則の三つ目、「一番最後に示された情報は記憶に残りやすい」という「新近効果(新近性効果)があるからでしたね。

ではなぜ、翌日から連続して3日間、復習を繰り返すのでしょうか?

実は、この復習のやり方も「エビングハウスがおこなった記憶実験」の結果から導き出されたものなのです。

エビングハウスがおこなった「もう一つの記憶実験」が教えてくれたこととは?

普通、「エビングハウスの記憶実験」というと、これまで取り上げてきた実験、すなわち、「無意味な音節」を覚えた後、20分後、1時間後、9時間後、1日後、2日後、6日後、31日後に再学習をして「節約率」を計算した実験のことを思い浮かべますが、

ここで言うエビングハウスがおこなった記憶実験とは、それとは別の記憶実験のことで、こちらの方は「有意味の音節」を覚えた後、1日(24時間)ごとに再学習を繰り返した場合の「節約率」を計算した実験のことなのです。

「有意味の音節」とは、実際は「ドン・ファンの1節」(約80音節)でしたが、実験の結果は、完全な再生が可能になるまでに要した「反復回数」の平均が、

1日目7.75
2日目3.75
3日目1.75
4日目0.5、でした。

エビングハウスは、「無意味な音節」についても同じ実験をしているのですが、無意味な音節については6日目まで実験しているのに対して、「有意味の音節」(ドン・ファンの1節)については4日目で実験を止めています。

4日目の0.5回という数値は、10回のうち5回は完全に覚えていたということで、残りの5回は1回復習しただけで完全に覚え直せたということですから、これ以上は実験を続ける必要はないと判断したのでしょう。

以上のようなエビングハウスがおこなった記憶実験の結果を踏まえて、受験生向けの「一番効率的な復習法」では、四回目以降の復習は、学習した翌日から連続して3日間復習を繰り返す、としたわけです。

翌日から連続して復習を繰り返すのにはどんな意味があるのか?

エビングハウスの記憶実験の後、数多くの記憶に関する研究が続けられてきましたが、そのうちの一つの成果として、記憶のメカニズムの解明があげられます。

記憶は大きく分けると、「短期記憶」「長期記憶」に分類することができますが、「短期記憶」を「長期記憶」にするためには反復学習が必要になってきます。

脳の大脳辺縁系の一部である海馬(タツノオトシゴに似ているのでこう呼ばれています)に一時的に保存された「短期記憶」は、側頭葉の内側の奥にある偏桃体によって「生きていく上で必要な重要情報かどうか」という観点から審査を受け、重要情報だと判定された情報だけが側頭葉を始めとする大脳皮質へ送られ、「長期記憶」として保存されます。

したがって、学習内容を「長期記憶」として保存するためには、偏桃体にこの情報が「生きていく上で必要な重要情報」であると判定してもらわなければなりません。

そのためには、「毎日毎日繰り返して復習をする」必要があります。これだけ毎日繰り返して復習しているってことは、この情報は「生きていく上で必要な重要情報」なんだな、と偏桃体に判定してもらえるようにです。

エビングハウスが自分のおこなった記憶実験について語った言葉とは?

すでに述べたように、エビングハウスは自分を被験者として実験した結果、翌日から連続して3日間復習を繰り返せば十分であると判断しました。

しかし、エビングハウスは、記憶実験について記した彼の論文『記憶について-実験心理学への貢献』の中で、次のように述べています。

「この結果が、別の状況で、他の人たちを被験者にした場合にも、・・・より一般的な意義をもつものなのかどうか、現在の私には確信することができない」

つまり、全ての人がエビングハウスと同じに「翌日から連続して3日間復習を繰り返せば十分であると」とは言っていないのです。

でも、こうは言えないでしょうか?

3日間で十分な人は3日間でいいでしょう。しかし、3日間では不十分だと感じた人は4日間復習を繰り返せばいいんです。4日間では不十分だと感じた人は5日間繰り返せばいいんです。

あくまでも、受験生向けの「一番効率的な復習法」は、エビングハウスがおこなった記憶実験から導き出された方法ですから、自分に合わせてどのようにでも変更していいわけです。繰り返す回数は自分で自由に決めていいのです。

要は、偏桃体に「これは重要情報である」と判定してもらえるまで繰り返せばいいんですからね。そうすれば「長期記憶」として保存してもらえるんですから。

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【エビングハウス10講】

① エビングハウスの忘却曲線の解説のほとんどは間違っているって本当?

② エビングハウスは記憶実験で節約率をどうやって計算したんだろう?

③ エビングハウスの記憶実験は具体的にどのようにおこなわれたのか?

④ エビングハウスはどうして無意味な音節を記憶実験の材料として使ったのだろう?

⑤ エビングハウスはどうして自分自身を記憶実験の被験者にしたんだろう?

⑥ エビングハウスの記憶実験から導き出された記憶に関する法則とは?

⑦ エビングハウスの忘却曲線から導き出された復習のベストタイミングとは?

⑧ エビングハウスの記憶実験から導き出された受験生向けの「一番効率的な復習法」とは?

⑨ エビングハウスの「節約率」で説明できる「一番効率的な復習法」!

⑩ エビングハウスの記憶実験と海馬と偏桃体が織りなす記憶のメカニズム!(今回の記事)

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次回記事計算ミスをなくすための最も効果的な方法とは?【原因の発見とその対策】

 前回記事:エビングハウスの「節約率」で説明できる「一番効率的な復習法」!復習はいつするのが一番効率的なのか⑨

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